目に見えない敵から学んだこと

1月のある日曜日の夜。日付がもうすぐ変わるころに一本の電話が鳴った。こんな時間に?と思って出ると、息子が濃厚接触者となった為、コロナの検査をしないといけないとのこと。

えー。それまでテレビでは聞いていたものの、まだ、身近に感じていなかった為、驚きと不安を感じた。それからコロナの驚異にさらされることに・・。

 

息子が検査をすることになったので、翌朝娘のお友達のお母さんに電話した。前日に我が家の子供達と一緒に習い事に行きその前後に接触があったためだ。が、午前6時過ぎ。朝の忙しい時間で出ない。いつもおばあちゃんの家で会っていたので、家ははっきりわからないし、仕方がないから知っていたおばあちゃんの家に車を走らせた。事情を説明し、小学生の娘も休ませるので、今日は休んでほしいとお願いした。そしてなんとか連絡つけて休んでもらった。今度は、その旨知らせようと職場に電話すると、そこでスタッフに感染者が出た事を知った。ここでも~?   息子が濃厚接触者で検査することになり、私も、娘も、夫までもが自宅待機に・・。その上遅れて私までもが検査する事になり、さらに子供達と夫と、子供のお友達の休む日が延びた。検査をするって事で、保育所に娘の学校、友達、学童、夫の職場と様々な所に連絡し、目に見えないため、どこまで接触したと考えたら良いのかわからなかった。

 

身近で初めての息子の検査は夫が連れて行ってくれたが、ドライブスルー形式で行われた。子供だからか唾液で摂取するもので、あっという間に帰ってきたが、結果が出るまでなんと長かった事か。翌日待っても昼間は電話がなく、深夜0時近くに電話があり、結果陰性。やれやれ。が、ほっとしたのもつかの間で、前日までに接触のあった私の妹、いとこ、子供の友達など深夜にもかかわらず連絡した。皆すぐに良かった。と返事が来た。きっと結果を待っていたんだろうな~。本当に良かった~。

息子の結果は陰性だったが今度は、2週間の待機と、様子観察期間が待っていた。毎日保健所より電話がかかり、検温の結果と体調の報告をした。本当は自宅で待機ということだけど、面倒を見るのが祖父母で、今度は高齢者への二次感染の危険があるとの事。保育所に相談したら受け入れてくれるとのこと。翌週よりお願いした。朝、保育所とは違う場所に連れて行くと完全防備の先生方が受け入れてくれた。でも、外出することもままならず、1日そのワンフロアで過ごすのは子供にとって苦痛だったと思う。遊び道具の一つにと、カルタを差し入れした。

 

待機中困ったことが・・。

今回のクラスター発生のため、職員と患者さんは計4回PCR検査を受けた。その度、検査日と結果が出るまで子供ももれなく休まなくてはならず、かと言って、自宅にこもっていることはできず・・・。この辺りはまだ人がいないところに行こうと思えば行けるけど、都会の子供達はできないんだろうな~と 。マンションや、アパートの一室に子供がこもるってできるのかな?どうやってすごすのかな?

いつも週末の休みには出かける我が家。公園だったり、ドライブだったり、サイクリングだったり。が、濃厚接触者としての待機中は公園にも行ってはいけないとのこと。自宅で過ごす用にと買い足した、すごろく、パズル、かるたにオセロやボードゲームなどやり尽くしてもまだ午前中。テレビも見たりはしたけれどすぐに飽きてしまう。そのうち家の中で戦いがはじまったり、野球が始まったり・・。仕方がない。外行こう!誰にもあわなければいいだろうと、子供達と私は自転車に乗り、夫は走って重信川の河川敷のサイクルロードに向かった。風の日も、寒い日もひたすら自転車で走った。おかげで体力ついたかも。

他には、小学生の娘は、長い時で土日挟んで7日間学校を休まなくてはならず、その間、勉強は進んでいくし、テストはあるし・・。自宅でのそのフォローも大変だった。1年生で、最初が肝心な時なのに~。学年が上がると教えることできるかな~。

今回、最初は息子が濃厚接触者ということだったので、なるべく家族と離す、特に小学生の娘と離す事に気をつけていたが、子供達にはまだよく理解することはできず、いつものように一緒に遊び、向かい合ってはないけれど一緒に食事し、同じ部屋で寝る。とハラハラの連続。マスクして~!離れて~!いつもどなってたように思う。手洗いうがい、消毒をしつこく促し、部屋の換気をこまめにしたり、手拭きタオルを止めたり、ドアノブや水道の蛇口を消毒したり、食べ飲み残しは捨てたり、他諸々とできることをやってやっと2週間の経過観察期間が終わった。

やれやれと思ったら、今度は私がまた3回目の検査。またまた子供達も休みに。今度の隔離対象は私。なるべく近づかないように。と思うけど、年中の息子も、小学生の娘も寝るとき、起きるときは、お母さん!入浴後のケア、歯みがき、就寝時なども離れることもできず、小さい子供のいるお家は母と子を隔離することはできないな~。と思った。テレビでもそれは言ってたな~。自分が部屋にこもってても子供が入ってきてしまう。ご飯の用意、入浴や排泄の世話。手のかかる子供には母親は必要不可欠。もし感染したら子供と一緒に感染するだろな~と覚悟をした。正直、子供と施設や病院に離されるよりはマシ!子供に症状がないのなら一緒に感染するほうが良いと思った。でも結果、感染することなくすんだので良かった。

今回の事で、もし私が(母親)が何かの事情でいない時の事を考えて、少しずつ子供と夫に自分のことは自分でする。また、子供の世話、簡単な食事の作り方、家族で協力する事の必要性なども教えていく必要があるなと思った。

 

職場では、人手不足のため他部署での手伝いに入り、勤続20年以上経つけれど初めて経験したことが沢山あり、それぞれの仕事の大変さを痛感した。いろんな人の仕事があって病院は成り立っているのだと改めて感じた。自宅待機していた方々も隔離生活すごく大変だったと思う。でも、残った人達も足りないところを助け合って乗り越えた。今回の事で皆が助け合う気持ちが高まったのではないかと思う。大変なことがたくさんあったけど、今後の病院にとって良い経験となったと思いたい。目に見えない敵に突然襲われ、家庭では家庭内隔離の難しさと今後への改善点を学び、職場では他部門の大変さ、協力することの大切さを学んだように思う。今後に生かせたら・・。と思う。

 

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