2.16 原発事故広域避難訓練に参加して

2012年2月16日、四国電力伊方原子力発電所で、重大事故が発生したとの想定のもと、広域避難訓練が行われました。原発を中心に半径30Kmの住民が避難の対象で、50Kmに位置する私たちの松前町は、避難の方々の受け入れ窓口になります。訓練に参加した櫻木医師のつぶやきです。

3.11から一年を要して、やっとこの間の国の対応の詳細が調査報告書のかたちで公開される運びとなった。
2.16の伊方原発の訓練は、9,500人ものスタッフを動員して、400余名の屈強な被爆想定者を搬送するものであったが、二次的事故がなくて何よりであった。
事故想定からして周辺30kmに影響が及ぶという、その影響?が想定外の事態であり、speediなる公表されるか不明な情報に頼り、どうやって周知管理しパニックを起こすことなく誘導可能と想定したか?
松前公園に中村知事の顔が見えたが、このシミュレーションで問題点を洗い出せるか、最終責任者たり得るかを予行演習されたらしい。

そもそも避難の優先対象は、妊婦、新生児、幼児等の自力で行動できない弱者の筈だが、その選別トリアージで黒札を頂けば、救命のチャンスを失うことになる。甘んじて死を受容するほうが、困難な避難の濁流に溺れるリスクを冒すよりも恵まれているとさえ思える。
未来ある弱者を生かすために、老病長寿者とそのお世話を担うわれわれ医療者は捨石になる栄誉を感謝せずばなるまい。

最悪の事態プランBなる悪魔の跳梁を迎えれば、自分自身には黙祷するのみであるが、家族と心中する選択には自信が持てない。“福島”で東京が要避難という想定は風向き次第で伊方が有事の際に大阪まで要避難ということになる。東南海地震マグニチュード9~10で可能な避難先は天国しか望めないのではないか?人類史が盛者必衰を証明するならば、文明の負の最大遺産を後世に残さぬように今こそ悔い改める時ではないか、さあて、あなたならどうする?

大震災後3~4日の悪夢を反省するに350日を要し、地震と津波の避難に十数分しか許されず、核分裂制御にリスク発生から数秒でベントや海水注入までを判断可能な頭脳と運動神経を将来も人類は、持ち得るであろうか?
(櫻木 康晴)

2012年02月

タイトルとURLをコピーしました