伊予の小京都、大洲市の話題。
聞きなれない名前だが、大洲市菅田(すげた)にある、少彦名神社(すくなひこな・・・)の参籠殿が、このほどユネスコのアジア太平洋文化遺産保全賞の最優秀賞を受賞したとのこと。
懸け造りと言って、京都清水寺の舞台や鳥取県三朝町の投入堂のような、崖に架設した堂宇で、数十年にわたって雑木に覆われ、忘れられ朽ち果てようとしていたものを、市民の尽力で再建したものである。
少彦名命(すくなひこなのみこと)は耳に馴染まない神様だが、大国主命(おおくにぬしのみこと)といっしょに全国を廻って、日本の国づくりをなさった。最後に大洲は菅田の地で亡くなられたのだが、神様にしてなんと死因は溺死、ここで肱川を渡ろうとされて「渡れるか?」と住民に聞いた、「深くて渡れない」と応えたのだが、その大洲弁が通じなかったらしく、そのまま淵に入って行かれた・・・と、日本書紀だか続日本紀だかに記されているらしい。(ホント?!)
再建に必要な材木は、地元の篤志林業家の寄進によるものだそうだが、画像でご覧のとおり、樹皮を剥いだままの磨き丸太で使うため、元から末まで真っ直ぐで先細りの少ない檜が求められる。長さ13メートルの材をそのまま搬出するのも容易なことではあるまい。
緑濃い掃き清められた参道を歩みつつ、手探り・手造りの再建事業をやり遂げられた地元の人々に感服し拝観した次第である。
昭和初期の板図が残っている。隅に「23104」なる、「暗号」が書かれている。描いた棟梁の名前だという。
そのココロは、ぜひ現地をお訪ねになり、ガイドにお尋ねください。
整形外科医師 T.N.